(要約)5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本

仕事をしていると、会議・商談・プレゼン・企画書など「言葉で伝える」機会が多くあります。

そんな中で「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」は、どれもビジネスパーソンにとっては思い当たる節がある悩みではないでしょうか。

本書は博報堂のスピーチライターである著者の、36年に渡る学生たちとのコミュニケーションから生まれたものです。

本書に書かれた5日間のトレーニングを通じて、一生ものの言葉の力を身につけることができます!

著者:ひきたよしあき

1984年、早稲田大学法学部卒。
学生時代より『早稲田文学』学生編集委員を務め、NHK「クイズ面白ゼミナール」では鈴木健二氏に師事し、クイズ制作で活躍。
博報堂に入社後、CMプランナー、クリエイティブディレクターとして、数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、ズバ抜けた文才に、多くのエグゼクティブからの指名が殺到している。
また、明治大学をはじめ、多くの大学の講義では「就職後まで役に立つ」「一生ものの考える力が身につく」と学生からも支持を集める。
「朝日小学生新聞」ではコラム“大勢の中のあなたへ”を寄稿。
また、行政から小学校まで講演の依頼が急増している。
日本語の素晴らしさ、コミュニケーションの重要性を様々な角度からアプローチし、広い世代に伝えている。

1日目:頭の中にあるものを知る

10回声に出してみる

悩んでる人

頭の中のコトバがパッと言葉にならない。語彙力がないからなのか、何を改善したらいいかわからない。
仕事や日常会話で使っている語彙であれば問題なく言葉にできると思います。

それでもパッと言葉に出てこないと言うことは普段から言葉にしていない可能性が高いです。

「ものの名前を10回言う」というトレーニングを続けてみると、続けるうちに頭の中で引き出しやすくなります。


形容詞を使うのを控えてみる

悩んでる人

つい何にでも「すごい」とか「やばい」って言っちゃうクセがある。
  • すごい
  • やばい
は形容詞で、名詞を詳しく表現するための言葉なので
  • すごい〇〇
  • やばい〇〇
と表現するのが本来の使い方です。

日本語は名詞を省略しても通じる言語なので、つい省いてしまいますが、省略することに慣れてしまうと同じ言葉を使ってしまいがちになってしまいます。

食べた感想であれば「美味しい!」で済ませずに、何が美味しいのか、どんな気持ちになったのかをあえて言葉にするクセをつけてみましょう。

MEMO
五感を使って自分の身体感覚を表現したり、自分以外の人の様子を描写したり、自分の過去や思い出から比較対象を探して話すと、形容詞以外の言葉を思い出しやすくなります。

2日目:考えるクセをつける

他人の頭で考える訓練をする

悩んでる人

広い視点で物事を考える習慣をつけたい

自分の知識や好みにとらわれてしまい、ひとりよがりになりがちです。

「あの人だったらどう考えるか」と考えてみると視点をグッと広げることができます。

MEMO
たくさんの視点から多角的に考えることができるようになれば、ひとりよがりな意見から脱却することができる。

仮説を立てる

アイスクリームを見て「白くて・冷たくて・美味しい」という感想は、見た目だけを絵に描いている「言葉のスケッチ化」だと著者は言います。

「〇〇という考え方」と最後につけて仮説を立ててみると、これまでとは違った要素をくっつけて、新しい仮説を立てていく「言葉の戦略化」ができるようになります。

具体例

アイスであったら「バケーションという考え方」「国民食という考え方」「祝福という考え方」など、思いつくままに案を出してみると、「切り口」がハッキリしてきて、自分なりの「コンセプト」を立てることができるようになります。


アイデアを集める

「ものを考える」ということは、ひとりでブレインストーミングをするということです。

ブレインストーミングとは
集団でアイデアを出し合うことで互いに刺激しあい、その場で創造的な発想を生むことを目的とした会議のあり方

常識や前提を無視して、自由な発想で、質より量でアイデアを書き出してみる。
ネットで、良い情報があったら単語・要素レベルでも良いから書き込む。
書き終わったら、単語や・要素がアイデアと結びつくか試してみる。

33案まで広げることができれば、面白いものをくっつけて新たなアイデアにすることができると著者は言います。

3日目:論理的に発想する力をつける

5つのWHYで深掘りする

「知らないから、より不安になる」というのはよく聞く話だと思います。

そこで有効な手段として「トヨタ生産方式」の生みの親である大野耐一さんが考案した「5つのWHY」という手法。

これはある問いに対して答えを出した後に「なぜそうなるのか」ということを考え、答える。これを5回繰り返すことにより物事を深く考えることができるようになるというもので、物事を徹底的に考える手法としてとても効果的です。


「バックキャスト」でゴールを想定する

悩んでる人

会社の進捗報告で「ゴールが明確じゃない!」と指摘された。まだ方向性が見えないのにゴールなんて見えないよ。
こんな時は「バックキャストゴールを描く」ことが有効です。
バックキャストとは?
ある事柄において、目標となる未来を定めた上で、そこを起点に現在を振り返り、今何をすべきか考える未来起点の発想法
具体例

自分の葬儀の時、友達にどのような弔辞(ちょうじ)を読まれたいかを考える。
「葬儀」という未来から今の自分をどう生きるかを考えることができる。

同じように、仕事でもバックキャストで想像した未来から、現在に立ち戻って考えると、自分に足りないものが見えやすくなります。

一つずつ議論を積み上げてゴールを目指しがちですが、ゴールを想定して対応することも論理的な手法の一つです。

4日目:真に伝わる表現力を磨く

一息、40文字で相手に伝える

「相手にとって分かりやすく伝える方法」として気をつけるポイントの一つに「短く伝える」というのがあります。

では、短いというのは具体的にどの程度か?

それは、一息で喋れる5秒(約40文字)が目安です。

これは、メールなどの文章はもちろん、仕事上で伝える際にも「40文字」を意識することが、わかりやすく伝えることができるようになる道になります。


動詞を増やせば、頭の中で映像が動き出す

悩んでる人

短い言葉で伝わりやすい表現はできるようになったけど、どうしたら人が行動してくれるような伝え方ができるだろう
ここでのポイントは「動詞」の使い方です。

例えばヨーグルトを勧めるときに

before

腸内フローラを整えるから試してみてね

と言われるよりも

after

おばあちゃんが笑っている。ママが鼻歌を歌っている。いつもは眠たそうな娘までもが機嫌がいい。
このヨーグルトを食べたら、朝の景色が見違えるように変わったよ!!

と表現した方が心にグッときませんか?

これはヨーグルトを食べている風景を想像して、あえて動詞を増やすことで、頭の中に映像が浮かび上がってきますよね。

映像が浮かび上がってくることで、人は心を動かせるようになります。

5日目:言葉に説得力をもたせる

とっておきのエピソードを10個用意する

悩んでる人

聞き手を惹きつける話し方って、どうすればできるようになるんだろう

実は、「人はプライベートに興味を持つ」という傾向があります。

プライベートな情報を効果的に開示することで「これって私にだけに教えてくれた!?」と感じさせることができれば、人をグッと惹きつける話ができるようになることでしょう。

プライベートなエピソードは10個くらい用意しておくとgoodです!

具体例

多くの人は、失敗や苦労話が好きなものです。
「生まれてから現在までのエピソード8つ」と「最近1ヶ月で起きたエピソード1個」「今日のエピソード1個」の合計10個構成であらかじめ会話の引き出しに入れておくことで、会話に困ることは少なくなるでしょう。


「へぇ〜」と声が出る数字だけ使う

細かい数字ばかりを伝えると、聞き手へのインパクトは薄れてしまいます。

そして、あいまいな形容詞(ヤバイ、すごい など)だけの文章でも伝わりづらいですね。

point
「ビックリするデータ以外は多用しない」「あいまいな形容詞をわかりやすい数字に置き換える」ことが重要!
具体例

昭和の小学生の苦手な食べ物1位はセロリ(13.6%)ですが、平成の小学生の1位はゴーヤ(28.3%)とダントツです。

意外性のある数字は、驚きの声が上がりやすいですね。

まとめ

本書では「言葉の力」を身につける25のメソッドのうちの一部を紹介しましたが、書籍の中では

  • 実況中継を行う訓練
  • 擬人化して考える方法
  • 話し始めで相手の心を掴む方法
など、ユニークで即実践しやすい内容が多数取り上げられています。

最初は「思いつく」ことにすら苦労していたところから「考える」「発想してまとめる」という段階を経て、

「伝える」そして「説得力を増して発信する」というところまで到達していく様子は、

言葉に苦手意識を持っている人を勇気づけてくれることと思います。

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